IC (Intensive Course)

第6回医薬品評価科学講座 Intensive Course 終了のご報告

2009年1月24日、東京大学医学部鉄門講堂に於いて第6回医薬品評価科学講座 Intensive Course(IC)が開催され、多数の参加者を迎えることができました。
ディスカッションの議事録はこちら(PDF)

医薬品開発・規制の「迷信」を探る
−新薬の研究開発・承認審査・保険適用をめぐる都市伝説を乗り越えよう−

医薬品の有効性・安全性の科学的評価や社会における薬の価値評価は難しい。難しいがゆえに、あるいはその難しさに便乗して、医薬品の研究・開発そして規制の世界には、真偽が定かではない主張や言説が蔓延している。何ら理論的な根拠を持たぬ主張・言説、思い込みであっても、影響力が大きいプレイヤー(メディアを含む)がそれを口にすれば、それがこの世界の「常識(迷信)」となって、その後の政策やビジネスの動向を事実上決めてしまうことがある。一度こうした流れが始まると「迷信」が「迷信」を再生産する悪循環が発生し、真偽を冷静に議論することはますます難しくなる。業界や学会のシンポジウム等が無自覚にこうした再生産に加担している可能性もある。

主張・言説が「迷信」なのか、一般的な意味での「常識」と呼ぶべきものなのか、単なる「思い付き」なのか、あるいは新しい知見や理論に基づいた傾聴に値する「新説」なのかを区別することは難しい。真贋を語ること自体が無意味なものや、条件・状況に応じて真偽が変わるものもある。主張を受けとる側の倫理・価値観が問題になる場合もある。医薬品の研究・開発・規制の世界で一定の役割を背負って日々を過ごすプロフェッショナルにとって、各々の役割の中での一般的規範が及ぶ範囲を超えたトピックの議論の質や妥当性を正しく判断することは至難の業であろう。

6回目となる今回の集中コース(Intensive Course)では、医薬品研究・開発・規制の各相における「迷信」を具体的に取り上げ、その由来、真偽・真贋の程度、医薬品の研究開発、社会への影響をできる限り根拠に基づいて議論する。また、「迷信」を受け容れるヒト(すなわち我々自身)の側にも注目し、「迷信」と「迷信に寄り添う人々」が生じる構造の俯瞰を試みる。その上で、今後の医薬品研究・開発、社会にとって利益のある言説・主張のあり方、建設的な議論を生むための心構えをすべての参加者とともに議論する。
(注)本コースの目的は、背景が入り組んだトピックを、幅広い視点から、科学的・建設的に論じることにある。取り上げる主張・意見はあくまで議論の材料であり、それらを肯定するものでも否定するものでもない。

日 時 2009年1月24日(土) 9:30〜17:00
場 所 東京大学医学部研究教育研究棟14階 鉄門講堂
協 賛 日本薬物動態学会/日本製薬医学医師連合会
日本製薬工業協会/日本臨床薬理学会

議題
トピックごとに講演とフロアからのコメントをまじえたディスカッションを繰り返しながら進行する。
●「迷信」か、現実か

(1)医薬品の研究開発・承認申請をめぐる「迷信」
(2)ドラッグラグをめぐる「迷信」
(3)医薬品の研究開発・規制をめぐる出版・報道の「迷信」
(4)厚労省・総合機構の規制をめぐる「迷信」
(5)薬価・経済評価をめぐる「迷信」

●「迷信」が生まれる構造を考える
●「迷信」をどう乗り越えるか

(1)企業、政府、研究者等、プレイヤーの立場から
(2)主張・言説の採り上げ方、議論の仕方から


進行
9:30-9:40 挨拶(東京大学大学院薬学系研究科 研究科長 杉山雄一)
9:40-9:50

今回の集中コースの趣旨説明

9:50-11:50 (第1部)医薬品の研究開発・承認申請をめぐる産業界の「迷信」

講演:岩崎 利信(塩野義製薬 開発薬事部長)

小宮山 靖(ファイザー 統計・解析部 統計コンサルティンググループシニアマネージャー)


ディスカッション(パネリスト、フロア)
11:50-13:00 昼食休憩
13:00-15:40 (第2部)医薬品規制当局の「迷信」、出版・報道の「迷信」

講演:橋本 宗明(日経バイオテク編集長)

森 和彦(厚生労働省 医薬食品局 安全対策課長
柴田 大朗(国立がんセンター 多施設臨床試験・診療支援部 薬事・安全管理室長)


ディスカッション(パネリスト、フロア)
15:40-15:55 休憩
15:55-17:00 (第3部)薬価、保険収載をめぐる「迷信」

講演:福田 敬(東京大学大学院医学系研究科 准教授)

ディスカッション(パネリスト、フロア)

東京大学大学院薬学系研究科
医薬品評価科学講座
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